北海道のライダーハウスをめぐる旅3日目:モシリパゲストハウス

北海道のライダーハウスを巡る旅

みどり湯のゲストハウスで起きる。5時。メールチェックスルと、昨日連絡していたゲストハウス、モシリパさんから返信が来ていた。アポを取って10時にお伺いする。同じ稚内なので、移動は楽だった。やや時間もある。その間、車の中で取材先の情報収集をしていた。

今回の旅の企画の1つに、東京からやってきたときの変化というものがある。北海道の、その末端である稚内にくる理由や物語を発見したかった。それには、そこに住んでいる人に聞くのが一番いい。

モシリパさんは去年、ツイッターで開業することを知った程度しか知らなかった。 モシリパのオーナーのことを調べていくと、ハンターだということがわかった。著書もある「山のクジラを獲りたくて」というタイトルで、見覚えがあった。キンドルで購入して読んでみた。とても面白い。ライターもやっていて、小説も書いてらっしゃる人なので、とても読みやすく、面白かった。

なぜ、北海道に来たのだろうか?と想像するまでもないと思った。ハンターが北海道に来るのは、ハンティングがしたいからだろう。エゾシカなどの害獣駆除として、北海道は魅力的なフィールドのはずだ。本を半分ぐらい読んだところで時間が来たので訪問する。「北海道に来たのは、やっぱりハンティングのためですか?」と聞いたら「ああ、それはちょっと違います」との事だった。

オーナーの武重さんは、若いころバイクツーリングにハマって「遠くに行きたい」という欲が出てきて、それならば世界中を回ろうと思ったらしい。2年以上世界中を奥さんと回り、日本に帰ってきた。民泊などの仕事をしながら、移住先を探したのだけれど決め手がない。とある人に北海道を勧められ、それならばと北海道を探したが、良い物件とは巡り合わなかったようだ。1年もの探索の末みつからず、すすきのの小さな居酒屋で飲んでいたら「それならば稚内に売りたいって人がいる」という話になった。

「稚内ってどこ?っておもったんですよ」と言うことだ。とても面白かった。失礼だけど笑いが止まらなかった。そんなドラマってある?と思ったのだ。まるでミステリー小説のようではないか。諦めたところで、ふとした拍子にヒントがつかめる様な定番の物語。そしてこれは現実の話だ。実際に訪問して、前オーナーは武重さんのことを気に入り、稚内のコミュニティに自然となじめたという。「稚内の人っていいですよ」と1年経営して感じたようだ。

文化も独特であり、最北端の特徴もある。食べ物はミズダコがおすすめだとか。たしかに、あれは安くておいしい。そしてなによりハンターである武重さんがエゾシカ料理をだせば、このゲストハウスはすぐに有名になると思った。

話は多岐にわたった。稚内の話から、ハンティングの話、世界一周の話や奥さんとの旅の話。気付いたら1時間が過ぎていて「きょう泊まれます?」と聞いてみた。本当は今工事中で閉めているけど、それでよかったらと泊めてくれた。よかった、これでまだ話が出来ると思った。

稚内市内でインナーを買ったり、仕事をちょっとしたりしていた。旅も3日目、慣れが出てくるころである。そして同時に仕事もしながらなので、その管理もちゃんとしなければいけない。ミスがあって凹んだ。強い浜風に体温が奪われていくのを感じたので、温泉にはいった。稚内の温泉は強い塩泉でぬるぬるして気持ちいいのだ。体温をとりもどし、メンタルも少し回復してモシリパに戻る。

娘さんと奥さんもいて、夕食に招待された。そして話す。ライターというもの、これからのリモートワーク、稚内の魅力、宿業の将来特に今年、とても贅沢な時間だった。とてもとても贅沢な時間だった。私から差し出せるものはあまりなかったが、ミズダコとエゾシカ料理を出せばとんでもないことになるとだけ言っておいた。それはライダーハウスを10年やった経験からわかる。ここでしか食べられないもの、という無敵のキーワード、私のザンギ丼が証明してくれる。

「文章、とても良かったです」と奥さんに褒められた。この言葉で、仕事で凹んでいたメンタルが癒された。これから先、もっともっと傷つき凹むことがあるだろう、またそうでなければいけないと思うが、この言葉を胸に進んでいこうと思う。言葉や文章は送り手と受け手がいて、相互のテレパシーだ。たとえばいま、目の前に金麦と餃子と留萌のピクルス屋のお姉さんからもらったニシン漬けがある。受け手によっては金麦は500mlだったり350mlだったりするだろう。そこに言葉の不完全さがある。私がやっていたライダーハウスでも、クソ汚いとかの口コミが書き込まれて星5をつけられたりするのだけれど、そりゃそうだと思うと同時にやはり凹んだりするよね。言った方はウィットの利いた高評価のつもりだとおもうけど(それはありがたいけど)ね。

そんなわけで、言葉のすれ違いを覚悟して書くけど、ゲストハウスモシリパに繁忙期しか来れない人は可哀想だと思う。もちろん、泊まるだけでも価値があるゲストハウスなのだけど、武重さん夫婦の話を聞けないなんて、かわいそうだ。たとえば、目の前にいる綺麗な奥さん(これも受け手によってイメージが変わる)、世界中で味噌汁を振る舞うということをしている。その話もすごく面白かったよ。

自分の悩み「俺はこれから何をしていけばいいのか?」についても話を聞いてもらった。正解のないこの話に付きあってもらう。1つだけ見えているのは、仕事の深さで人に話を聞きに行く、ことだ。まさに、今日の様なことをやっていきたい。

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