郵便局と岡本太郎

なんとなく4時に起きてしまってこれを書いている。
ライターの仕事をしながらライダーハウスの片づけを勧めている5月。気温は半袖バイクとストーブをくりかえす躁鬱病の精神状態のような極端な起伏をみせている。俺は進まないライターの作業に頭を抱えながら、コロナで使えないいつもの仕事場(図書館とか温泉)に行きたくてもだえていた。そんな時に「ハロワに行く」と半同棲状態の彼女Aが言ったので、ついでにスーパーな銭湯に行くことにした。
仕事は進まなかったがさっぱりした。こんな状況なのに気持ちがいいのは、彼女Aが半年ほどの失業保険期間を終えて就労の意志を見せたからだ。旭川のアルバイトに10年以上実家から通っていた彼女を引き寄せて美瑛で生活を始めることになる。その為の家も買った。すごいと思った。俺のささやかな収入なんかを吹っ飛ばすんだな、就職というのは。そして、俺も何とかしなければなと思う。このままではヒモになってしまう。ライダーハウスを続けるにせよ、しないにせよ、ちゃんとした仕事を見つけなければいけない。ライターも続けるにせよ、しないにせよ、これはまあどうでもいいや。文章を書くのは仕事であり生き方であり新陳代謝である。ただそこにある。そんな存在だ。
俺の人生の問題というかテーマのひとつであるライダーハウスをなんとかすれば、これから先が見えてくるのだ。そう考えてたら電話。大家さんからだった。お伺いすると家買わないか?と言う話だった。「ちょっと前に買ってしまった」というと残念そうだった。ほんとタイミングだった。それからライダーハウスの土地購入の話になる。去年まではふんわりしていた金額も500万とはっきり明示してくれた。500か。遠いが非現実的ではない数字だ。でもライダーハウスではペイできない。趣味として続けるには高すぎる。家もあるし、どーぞ新しい買い手を見つけてくださいというスタンスで話した。解体も手伝おうじゃないか。今やってることの延長だ。電柱を組み合わせてトタンをかぶせたような建物だから素人でも解体できるだろう。電車だって実は木製だからなんとかなる。ただ時間はかかるだろう。
すべて家の効果だった。住まなくてもいいとなったとたんに、その土地にこだわる必要がなくなった。別にライダーハウスはどこでもできるのだ。甲本ヒロトがブルーハーツという名前にこだわらなかったように、俺も蜂の宿という名前にこだわらないぞ。美瑛のどこかでやれればいいのだ。そんな感じで話していたら、ちょっと値引き交渉の雰囲気になった。300ぐらいでいけるんじゃないか?むしろ、300以上で買ってはいけない。そんな気持ちになる。
家に帰ると、いままでもやもやしていた問題がクリアになっていることに気付いた。彼女の人生、俺の人生、ライダーハウス。残りの人生でなにかをしたいと考えていたけど、普通に働いて普通にライダーハウスを運営して、普通に文章を書くのもいいじゃないか。もうライダーハウスの運営に全力を傾けなくてもいい。ライターに24時間捧げなくてもいい。すべてちょうどいいバランスでミックス可能だ。彼女にいい感じの夕飯を買ってきてもらって祝杯を挙げた。達成していない就職に、買っていない土地と家に、これからの人生に。「もし、余裕が生まれたらどうする?」と言う話をした。万が一「お金より時間が欲しいわー」という状況になってしまったら?その時は犬でも飼おうかな「文鳥でいいんじゃない?」というつつましさ。そうか、文鳥を飼おう。
酔っぱらって、朝起きる。毎朝のルーチンは「これからの人生をどうするか?」どんな仕事をしようかな?そう頭を働かせていたら落雷が落ちる。〒。俺の知ってる仕事、ストレスフリーでバイクに乗れる仕事。20代で就いた最初の職業。それから20年近く経過して、さまざまなスキルを身につけた。〒。ここならライダーハウスをやりながら、ライターをやり、たまに山や沢にも登れる。雨の日は裁判傍聴でもできる。カヤックもできる。営業だってもうこなせる。健康にもいい。
問題は、俺のなかの岡本太郎がどう思うかだ。「金や安定を追うのか?そんなのはゴキブリだってやっているじゃないか」と。それだけが、とにかく問題だ。

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