家を買いヒモになる

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雨降りの朝、ゆううつな気分でゴミを捨ててくる。家にはまだまだゴミがあって、それは自分が買い集めた木材だ。いろいろな形に切って、つなげて、ところどころ腐っている。「ごめん」と木材に謝った。ホントはもっと良い最期を迎えられるはずだったのに。(せめて燃料とかにするはずだった)だけど、1度ここを綺麗にしないと気が済まないのだ。今日は家の契約をする日。つまり来月には引っ越すからだ。

途中郵便局のATMでお金をおろして不動産屋に行った。すでに先方は到着していた、申し訳ない。ご高齢の夫婦と向かい合い、不動産屋が書類を渡してくる。それを読み上げながら、1枚1枚解説してくれた。とても興味深い。家の位置、敷地の建屋面積、条例による土地区分、1つの不動産を購入するだけで、こんなにも書類手続きが必要なのか!小冊子を読みながら、宅建とって不動産屋をやるって大変な仕事だと思った。ましてや、今回動いた金なんて大したことない。去年のライスセンターで稼いだ金とほぼ同額だ。その5%ほどが不動産屋の取り分。それだけの為に、何度も売り買い手双方を行き来し、書類を作成してくれた。ちょっと感動した。

ハンコをつきつき、1時間ほどで終了した。売主さんご夫婦と少し話す。

「あの、○○のYさんってご親戚ですか?」

「ああ!そうですよ」

「やっぱり!郵便局で同期だったんです」

ちょっと変わった苗字だったので聞いてみたらやっぱりそうだった。Yくんは俺が郵便局に入社したときの同期で、一緒に研修を受けたりしていた。旭川に冬増に行っていたときも、通勤は同じ路線の同じ電車だったので良く話した。これも縁か。

縁があったからなのか、100万の値引きについては特に何も言われなかった。水回りや雨漏りがあってもノークレームということだけ。自分が商売をしていたときにきつかったのは「まけてや」という言葉だったのを思い出す。「なんだ、俺の仕事には価値がないってか」と傷ついていた。その逆の事をしている。100万も値切ってしまった、その相手が目の前にいる。「私たちの家には価値が無いってこと?」と思われても仕方ない。大切に使わせてもらおう。

契約が終わり、手付金も払って、来月には引っ越しできそう。大きな買い物が終わってほっとした。旭川で街ブラする。駅前イオンに車を停めてラーメンを食べたり、楽器屋で面白楽器を探したり、オサレなインテリアを見て回る。インテリアを見る目が変わった。新しい家に配置するイメージで見てしまうのが楽しい。抹茶パフェなどを食いながら「いかん、いかんぞ」と引き締めた。

なんというか、こんなに浮かれてはいかんのだ。きっと不幸がこの先にあると思ってしまう。幸せに対する猜疑心が強い。さらに本屋をブラブラしているときに電話があり彼女Aの就職が決定、来月から働くことになった。これで現状私はヒモになった。自分はまだ次の面接を待っている状態。「みてろよ」と思う。これか先、もうアルバイトやフリーランスではいけない。いや、それでもいいのかもしれないが、ヤツが正社員であるのにこっちがフワフワしているわけにはいかんのだ。

それでもヒモらしくこの記念すべき日をセレブレイトしなければならない。「行くぞ」と美瑛の、いや私のやきとり人生のなかでもベストオブベストの焼き鳥や「七福」に行く。おかみに「就職祝いです」というとトマトの輪切りをサービスしてくれた。ここはとてもいい店だ。こんな良い焼き鳥やがある街に住めて幸せです。「札幌は遠くなったけど東京が近くなった」と彼女Aが言う。旭川からなら札幌は高速2時間。でも旭川空港は美瑛からの方が近い。飛行機なら東京は1時間ほど。金さえ出せば東京は札幌よりも近くにあるのだ。「きっとふらりと行ってくるわ」とヤツはいった。東京の宝塚大劇場の事だろう。ヒモである私にそれを咎める権利は無い。っていうか、金と休日の使い道はそんなところしかないのだからバンバン行けばいいと思う。そんな話をしていたらスゥイートポテトが出て来た。他のお客さんの持ち込みだという。実にいい店だ。

帰り道。気温はひんやりしているが、アイスを食うにはちょうどいい感じ。今日家を買って、就職を決めたのだなあと思うとしみじみいい感じがした。人生がゴリゴリ動いている。そして明日は私の面接がある。2人で働けばまあ死ぬことは無いだろう。パルムがとても美味しかった。

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